中長期視点での街作りやインフラ作りの事業共創に関する事例

事業共創型のCVC

今回は、デベロッパー、鉄道、エネルギーなどの中でも、B2Bセクションや耐久財など、大規模なインフラなどに関わる企業の事業共創アプローチの事例をご紹介します。

結論から先にいうと、これらの企業の場合、Spacのように、買収による経営権の取得を積み重ねるのではなく、CVC(Corporate Venture Capital)を組成し、、出資をして、継続的な資本業務実現を積み重ね、事業を進める方法をお勧めします。

Spacによる事業創造は基本的にはスモールM&Aを行い、PMI(Post Merger Integration)の中で自社の戦略に沿った形で買収した会社の統合を進めることで、実現したい大きな事業体を目指すというコンセプトでした。
しかし、たとえばスマートシティ構想といった街作りや、次世代移動システムなどのインフラシステムを目指す場合、ひとつの会社を買収したところで、街全体を思い通りの形にすることは困難です。
そこで、一社を買収し年月をかけてPMIするのではなく、複数の会社に出資し業務提携して、スピード感と量を重視してコラボレーション的に進めていくのが、Spacとのいちばんの大きな違いであり、インフラ系企業の事業共創の基本的な考え方です。

CVC(Corporate Venture Capital)とVC(Venture Capital)の違い

CVCは原則、自社のために作られたベンチャーキャピタルです。
通常のVCは、ほぼ収益性のみを追求して投資を行いますが、CVCは収益のためだけでなく、ステラテジックと呼ばれる自社のシナジーのために投資を行うことが一般的です。
今回のようなパターンでは、場合によっては我々も入り、2社共創で、CVCを作ることもあります。

メリットととしては、組合の形で出島にしておくことで、毎度同じフレームワーク(同じ基準、固定メンバー、固定金額)で、自社の戦略的出資をおこなうことができる点。
ひとつの会社を買収して、街全体の教育機能を作り上げ、自社でコントロールするというのは壮大すぎる話ですが、教育系ベンチャーに出資をし、教育の部分は担ってもらうというオープンイノベーション的な方法は実現可能です。

とくに都市の移動インフラ、街作り、エネルギーなど、事業規模が大きな会社の場合、CVC型の事業共創をおすすめします。

我々が支援するのは、基本的にB2C、B2B2Cといった「C(Consumer)」が絡む場合になりますが、CVCを作る手法をご提案し既に動いている案件もあります。

CVCはひとつ作って終わりではなく、目的ごとに作る必要がある

「事業共創のためにCVCを作りましょう」という提案に対し、
「うちの会社にはすでにCVCがある」
「新しく作る必要はない」
という意見が必ず返ってきますが、これはもったいない考え方です。

そもそもこの提案の前提は事業共創です。
すでにお持ちのCVCは事業共創のために作られたものではなく、おそらく別の目的のために作られたものでしょう。
CVCは同じ基準で量産型で出資できると解説しましたが、出資の目的が異なるものが混在すると「戦略的に量産する」という基準がブレてしまうため、CVCはひとつあれば十分というものではなく、目的ごとに統一の基準を持ったいくつかのファンドが必要です。
現在事業共創のファンドがないのであれば、十二分に検討の余地がありますし、その事業共創にクライアントだけでなく、博報堂の知見やリソースが必要であれば、共同でCVCを作ることも検討に値します。

万が一、上司などから「CVCはひとつでよい」と言われた場合、この記事を使って説得していただければ幸いです。

また、「CVCを新たに作ると管理コストがかかるのではないか」と言われることもありますが、CVCに関わる書類整理、出資手続きといった事務作業をOEMで提供してくれる企業と組んでいるため、ゼロから勉強したり、人的リソースが割かれたりすることもないため、ご安心ください。

情報収集目的で既存のVCに出資されている場合もありますが、なかなか提携にはこぎつけられないという実感をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
VCは利益優先のため、自社の戦略と合致して資本提携という座組みにはなかなかいたりません。事業共創型CVCに出資をおこなったほうが、結果的に自社の目指す事業体に近づくことが可能です。

また、ファンドサイズについて、近年VCは大きくなる傾向にありますが、極論、3億から5億から始めることができます。いきなり大きく無駄な出費をするより、小さくオープンイノベーション型の事業共創ファンド始めることをおすすめします。

通常のCVCは少人数で、やや属人的にエリアで決めていることが多いものですが、ここに我々のチームが入ることで、トライブの知見を活かしどんなインフラ作り、どんな街作りができるかという、通常のCVCを作る過程にはない、具体的なアイデアを提供することが可能です。

このように、5~10年先も通用する使える骨太な方針をもとに、事業共創型のCVCが作れることも大きなメリットです。
今回は街づくりなど、自社で全てをまかなうのは難しいパターンの事業共創事例をご紹介しました。
本件にご興味を持たれた方は、お気軽に問い合わせフォームからお問い合わせください。