2021.07.04 | D2C

大手製造業がD2C、DNVBに取り組む際の課題を解決する考え方

SEEDATAでは、これまで大手製造業がD2C、DNVBにチャレンジする必要性について解説してきました。

今後はプロダクトだけではなく、そこにサービスを不随させることにより、オンラインを通して顧客とつながりながら、ブランド、プロダクト、サービスを三位一体で開発していく必要があります。

サービス、D2C、DNVBの重要性についての理解が広がり、現在、大手製造業は軒並み、D2C、DNVB開発に取り組んでいます。

その理由の一つとして、既存流通やECプラットフォーマー対策があげられます。既存流通やECプラットフォーマーにたよらず、オンラインでも顧客と直接つながりながら、商品を売っていこうという動きが加速しています。

しかし大手製造業でD2C、DNVBに取り組もうとする際にはいくつかの落とし穴があり、今回はその落とし穴と対策について解説します。

ECの基幹システムとD2C・DNVB用のシステムの違い

現在、サービス、D2C、DNVBの企画を終え、実装に移ろうとしている大手製造業は多いでしょう。しかし、そこからいざ企画を形にしようとする際につき当たる壁が、既存システムの壁です。

D2C、DNVBには取り組んだことがない大手製造業でも、自社ECサイトを保有していることがあります。そして、自社ECサイトを開発する際には、大手システム会社の大規模基幹システム(ERP)を導入していることがほとんどです。

実は、この既にある基幹システムを活用し、D2C、DNVBのサイト設計、システム設計を行うとすることこそが落とし穴です。

なぜなら大手製造が導入している基幹システムはECサイトには特化していますが、D2CやDNVBサイトの設計には対応していないことがあります。ECと、D2CやDNVBのサイト設計は根本的に異なるということがポイントです。

ECとD2CとDNVBの違いとは? – SEEDATA GLOBAL

ECサイトの考え方は「選択肢を増やすこと」= 商品の品揃えを増やすことが最大のメリットとされていました。商品を陳列できるスペースが限られているスーパーやコンビニの棚とは異なり、ニッチでも必要としている人がいる、ロングテールな商品をたくさん置くことができることがECの最大のメリットです。

つまり、いかに多くの商品を、いかに分かりやすく並べ、いかに効率的に在庫管理できるかが、ECサイトの基幹システムのポイントでした。既存の基幹システムを使えば、Amazonや楽天のような、ミニECサイトを作ることは容易です。

一方、D2C、DNVBは根本的に考え方が異なります。D2C、DNVBの考え方は「選択肢を減らすこと」= 商品の品揃えは厳選して、できるだけ少なくし、本当におすすめしたい商品にたどりつきやすいサイト設計が求められています。

このように、D2C、DNVBとは真逆の考え方をもとに作られたECの基幹システムでは、現代のユーザーが陥っている「商品が多すぎて選べない」「選択疲れ」といった課題は解消されません。もちろん、Amazonや楽天などのECはニッチな商品を指名検索するときには便利ですが、D2CやDNVBを作る際には、このようなECサイトの設計では他ブランドと差別化できず、D2C、DNVBならではのサイト設計をしていく必要があります。その際に既存の基幹システムでは、D2CやDNVBの設計が難しいというところに落とし穴があります。具体的にどんなところが難しいのか、解説していきます。

D2C・DNVBのサイト構築に必要な機能とは?

D2CやDNVBのサイト設計で最もよく使われているサイト開発・運営プラットフォームがShopifyです。純粋なECとは異なり、小規模でもD2CやDNVBらしいサイト設計を柔軟に構築することができるサービスで、例えば、診断サービスやサブスクリプションサービス、会員制サービス、メールマガジンのパーソナライズ配信サービスなど、簡単に取り入れることが可能です。既にスタートアップでは多く活用されていますが、大手製造業で取り入れられている事例はまだまだ多くありません。

大手製造業のサイト設計の問題点の一つは、ECサイトとブランドサイトが分かれていることが多いという点です。

ブランドを紹介するのはブランドサイト、プロダクトを販売するのはECサイト、サービスを提供するのはスマホアプリと、完全に分離しています。

この点も、ECと、D2CやDNVBとでは考え方がまったく異なることの表れといえるでしょう。本来であれば分離しているブランド、プロダクト、サービスを統合して、一つのサイトやアプリにしていくことがD2CやDNVB流の設計方法ですが、それが既存の基幹システムでは実現できないというのが課題になっています。

例えば、D2CブランドサイトのひとつGREEN SPOONでは、ひとつのページ上に、ブランド紹介、プロダクト紹介、サービス提供が集約され、これまでのECサイトの設計とはま異なり、ボタンの数を徹底的に少なくしています。

ユーザーはまずは診断サービスを利用し、今の体調や好みに合わせ、どんな栄養素が必要かを診断し、そこからプロダクトを購入するかどうかを判断します。

ECサイトは商品ページへの遷移ボタンがたくさんありますが、D2Cサイトはまずサービスページに遷移してもらうことを念頭に置いているため、サービスへの導線に絞って設計しています。

システムをゼロから自社開発するのはコストも労力もかかりますが、古いシステムに縛られて新たなサービス売り、D2C、DNVBの考え方に対応できないのは本末転倒です。

D2C、DNVBに適したシステム選びをするためにも、ECとD2C、DNVBの違いを理解しておく必要があるでしょう。

 

大手製造業の中には、既存の基幹システムを活用してD2Cサイトを立ち上げているパターンもお見受けされます。見た目はD2Cでも、ECサイトの基幹システムで作られているため、ブランドサイトが別に存在していたり、滑らかなUIやUXが実現できていない場合があります。

このように、今後D2CやDNVBを設計する場合はECと、D2CやDNVBの違いを理解し、既存のEC用の基幹システムを使うのではなく、ShopifyのようなD2C、DNVBに特化したシステムを使って開発することがポイントです。

D2C、DNVBの初回購入ハードルを下げるPREX

D2CやDNVBが台頭してきたとはいえ、ユーザーにとっては、まったく知らないブランドの商品やサービスをオンラインで初めて購入するときは、なかなかのハードルがあります。

相当口コミがよかったり、好きなタレントやインフルエンサーがおすすめしていない限り、ブランドを新たに知って購入してもらうにはまだまだハードルが高いのも事実です。オンラインの難しさはこの点です。

 

一方でオフラインの店舗の良さは、接客を受けたり、試着をしたり、購入前にお試しができることでもあります。

そこで重要になるのがPREX(Pre-Experience)消費という考え方です。

【トライブレポート45】未来の買い物行動にみる新規事業、新サービス開発アイデアのヒント(フューチャーショッパー) – SEEDATA GLOBAL

たとえばGREEN SPOONのような診断サービスは、まず自分の体調や好みを理解し、それにあった商品を知る機会があります。これは診断サービスが、ある意味でオンライン接客の役割を果たしています。このような購入前のオンライン接客やトライアル体験をサービスとして提供することが重要になりますが、これらを実装することは、基幹システムだと難しい場合があります。

 

とはいえ、大規模な基幹システムそのものを変えることは現実的でないため、制約がある中でどうやって実現していくかを考えることも重要です。

たとえば、事前のトライアル体験として、サンプルを有料販売したい場合、いままで無料で配っていたサンプル自体に価格をつけられず、商品登録ができない場合でも、商品を解説したガイドブック自体に価格をつけて、商品登録し、それに無料でサンプルをつけることで、実質的にサンプルを有料販売し、初期顧客を獲得できるかもしれません。

 

このように、既存の基幹システムの中でもD2CやDNVBを実現していくための抜け道や実践論にも詳しいシステム会社やサービス開発パートナーと組むことをオススメしています。

佐野拓海
Written by
佐野拓海(Sano Takumi)
チーフ・プロデューサー